Patricia Pagny
パトリシア・パニー
パトリシア・パニーの、独自の音楽へのアプローチと音色への色彩感あふれるセンスは、数々の国際舞台において、喝采を受けている。NOVALIS、STRADIVARIUS、GUTINGI、MGB、GALLO等のレーベルよりリリースされている多くのディスクでは、この演奏家独特の確固としたスタイルを聴くことができる。彼女の、ソロ、協奏曲、室内楽のディスクにおけるレパートリーは、バロックから近現代(スカルラッティ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、ドビュッシー、そしてアメリカの現代作曲家、ポール・グラス)と幅広い。また、シェック、オネゲルといった、演奏される機会の少ない作曲家の作品も手がける。今後は、モーツァルト、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ショパン、ドホナーニ、及び20世紀のイタリア作曲家の作品集録音が予定されている。
幼少の頃よりヴィンチェンツォ・スカラムッツァの流れを汲むノラ・ドアッロ女史の手ほどきを受け、その後、ニキータ・マガロフ、マリア・ジョアン・ピリス、パウル・バドゥラ=スコダに師事。数々の国際コンクールで頭角をあらわし、マルサラ及びクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール(スイス・ヴェヴェイ)でファイナリスト、アレッサンドロ・カサグランデ国際ピアノ・コンクール(イタリア・テルニ)優勝。
ヨーロッパ、日本、カナダ、アメリカおよびラテンアメリカでのコンサートで、ソリストとして数々のオーケストラと共演。これまでに、サー・ゲオルグ・ショルティ、ユーディ・メニューイン、マルチェロ・ヴィオッティのもと,また近年では、ウリ・セガル、ハンス・グラーフ、ルドルフ・バウムガルトナー,ヴォルフ=ディーター・ハウシルト、リチャード・ヒコックス、テオドール・グシュルバウアー、ハインツ・フリッケ等の指揮のもと、シカゴ交響楽団、ハンガリー交響楽団、ワルシャワ交響楽団、ドレスデン・カペルゾリステン(シュターツカペレ、ソリストアンサンブル)、アルトウーロ・トスカニーニ交響楽団、ミュンヘン放送管弦楽団、ベルリン・ジンフォニカー、ストラスブール・フィルハーモニー、チューリッヒ室内管弦楽団、ハイルブロン室内管弦楽団、ルツェルン祝祭弦楽団、パリ室内アンサンブル、ラムルー管弦楽団、スロヴァキア放送交響楽団(ブラチスラヴァ)、ケヴェック交響楽団、タイランド・フィルハーモニー管弦楽団、イスタンブール交響楽団、バーゼル放送交響楽団、コロンヌ管弦楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ローザンヌ室内管弦楽団、ロレーヌ・フィルハーモニー等、各国の主要オーケストラと共演。
また、スポレート(二つの世界の音楽祭)、モントルー、グスタード(メニューイン・フェスティバル)、ストラスブール、コルマール、ボローニャ、クーモ(フィンランド)、ディヴォンヌ、チューリッヒフェスティバル、ソシエタ・デイ・コンチェルティ(ミラノ)、プリマヴェーラ・コンチェルティスティカ(ルガノ)等、多くの国際音楽祭や、シカゴ・オーケストラホール、ロンドン・ウィグモアホール、ミュンヘン・ヘルクレスザール及びガスタイクザール、ベルリン・フィルハーモニーホール、奈良・斑鳩ホール、東京オペラシティホール、京都コンサートホール、ルーブル美術館オーディトリウム、パリ・サル・ガヴォー及びサル・プレイエル、ミラノ・サラ・ヴェルディ、チューリッヒ・トーンハレ、バーゼル・シュタットカジノ、ブレーメン・グロッケ、パルマ・テアトロ・レジオ、カルガリー・ジャックシンガーホール等、各国の主要ホールにおいても、リサイタルや室内楽コンサートに出演している。室内楽奏者としては、オリヴィエ・シャルリエ、ジェラール・プレ、ジークフリート・パルム、カーター・ブレイ、四方恭子等と共演。
またパトリシア•パニーは”Tasti’Era-Projects”(タスティエラ プロジェクト)を立ち上げ、若い音楽家たちの音楽活動支援のために、コンサートやリサイタル、また今日の観客の在り方を考えた様々な分野を融合させた音楽イベントなどを主催する音楽監督でもある。
現在は,コンサーティストとしての活動の傍ら,スイスの国立ベルン芸術大学のピアノ科教授として後進の指導にも力をいれている。批評家は、彼女の演奏について、とても独創的であり、鮮麗なピアニズムが音楽を内面から活気づけ、聞き慣れた音楽に新鮮な感動を与えると評する。
「パトリシア・パニーの最高度に磨きぬかれたテクニックは、彼女の解釈する音楽とひとつに溶けあっている。表面的なものとは無縁のその超絶技巧は、まさしく音楽表現の手段となり得ている。」Der Bund(ベルン)
「パトリシア・パニーは、モーツァルトの珠玉の作品の数々に磨き抜かれたダイヤモンドの輝きを与えた。ソナタと変奏曲は、彼女によって宝石をはめこまれたようであったし、演奏中の即興性は、モーツァルトらしいファンタジーの精神に見事に呼応していた。内容の濃い芸術的な夕べであった。この素晴らしいプログラムを是非録音して、彼女のモーツァルトのディスコグラフィーを充実させてほしいものだ。」DNA(ストラスブール「チューリッヒ・フェスティバル97におけるクライマックスのひとつは、パトリシア・パニーのピアノ・リサイタルであった。マルタ・アルゲリッチのような “鍵盤使い” とでも言いたいこのピアニストは、ロマン派のレパートリーを披露、伝統的な解釈にそって無難にまとめてしまうことを潔しとせず、新たな道に挑みつつ、超一流の演奏を聴かせてくれた。」 REFLEX, Radio DRS(チューリッヒ)
日本のピアノ月刊誌「ショパン」では、音楽評論家の長谷川武久氏より、マリア・ジョアン・ピリス、オリ・ムストネンとともに “21世紀に期待するピアニスト”として、紹介された。
「フランスの若手女流パニーは本番で燃焼する人。いつも高い理想を持って奏しているようで、音楽に対する純な憧憬心の存在が感じられる。来日する事を望みたい。」
パトリシア・パニーのこれまでのピアニストとしての歩みの中でとりわけ意義深かったことは、サー・ゲオルグ・ショルティとの出会いであった。「パリでのことだった。私はとても疲れていて、あと一人オーディションすることなど、全く勘弁願いたいという気持ちだった。しかし、彼女の最初の音を聴いた瞬間,息をのんだ。ああ、これだ、すばらしい! 6ヵ月後、私は彼女をシカゴに招いた。それは大成功だった。」パトリシア・パニーはマエストロの指揮のもと、シカゴ交響楽団とメンデルスゾーンのピアノ協奏曲第2番を演奏、華やかなアメリカデビューをかざった。「必ずや話題の人となるだろう、この若き素晴らしいピアニスト・・・」
Chicago Tribune
「この日、ジュネーヴのヴィクトリアホールにて、パトリシア・パニーの演奏を聴いた。ピアノテクニックのクオリティーだけでなく、彼女の明晰かつ度量の広い芸術家としての人となりを反映した、その見事な音楽性に感銘をうけた。 」
マレク・ヤノフスキ